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ジュニアゴルファーが将来プロとして世界で成功するために重要なこと

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Courtesy of City Parks Foundation

Save for later

才能豊かなジュニアゴルファーは大勢いる。しかし、その後の成長を左右する要因についてPGA TOURで活躍するツアープロに尋ねると、マインドセットつまり「心構え」という返答だ。

コリン・モリカワはメジャー2勝を果たし、初参戦したライダーカップでもアメリカチームの勝利に貢献したうえ、ヨーロッパで出場した試合数は限られていたにもかかわらず、Race To Dubaiの年間王者に輝いた。

 

最近、トーナメントを控えたモリカワと一緒に歩いているときに、いつから他の選手よりも優れていると自覚したのか?という質問をぶつけてみた。するとモリカワは少し考えてから、そう思えるようになったら教えると答えた。

 

「自分が他の選手よりも優れていると思ったことは一度もない」と25歳のモリカワは断言する。「なにしろ、いつも周囲から何かを学んでいるからね」

プロのスポーツ選手が謙虚なふりをしても簡単に見抜けるものだが、モリカワの返答には真実味があり、感情的にも聞こえない。

彼が卓越したゴルファーであることは、もちろん本人も自覚しているはずだ。しかし、その卓越性は、自分はさらに成長できるという強い信念に支えられている。

 

 

「なかには現状に満足してしまうジュニアゴルファーもいるけど、学ぶべきことは尽きない」とモリカワは言う。

「僕は日々勉強している。それが何よりも重要なんだ。もう学ぶことはないと思ったら、そこで成長は止まってしまう。他の選手がどんどん上達していくなか、自分だけ同じことを繰り返していたら、取り残されてしまうからね」

 

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Harry How/Getty Images

マスターズ開幕前の日曜日に開催される「ドライブ、チップ&パット」は、トッププロとは一味違うジュニアゴルファーの活躍が楽しめる大会だ。

舞台は名門オーガスタナショナルの練習場でゴルフチャンネルで完全中継されるこのトーナメントには、完璧なゴルフスイングを身につけ、ゆくゆくはメジャーの大舞台に立つことを夢見る7歳から15歳の少年少女が出場する。

能力的には、いずれ夢を実現できると期待させる逸材ばかりだ。しかし、素質に恵まれたトップジュニアでも成功を収めた者もいれば、次のレベルに到達できなかった者もたくさんいる。

 

成否を分けるポイントが何なのかツアープロに尋ねたら、現状に甘んじないこと、と口を揃えて言うだろう。

「12歳や15歳で自分の実力に満足しているとする。でもそのときは良くても、向上心を持ち続けないと、いずれ通用しなくなる」とモリカワは言う。「僕は今も自分に満足していないし、プレイするときは常に向上心を忘れないように心がけている」

 

カリフォルニア州北部出身のジェイデン・ドゥムマヤとニューヨーク州北部出身のブレイデン・ドックは共に15歳のジュニアゴルファーで、それぞれ地元では圧倒的な強さを誇っている。2人はプロゴルフへの強い願望と、そのための取り組みについて熱心に語ってくれた。

幼いころから兄や姉とパッティング勝負を続けてきたドゥムマヤは、そのおかげでゴルフが上達し、「競争心も養われた」と言う。

失敗を乗り越えることが成長につながると話すドックは、「1ホールでミスをしても、残る6ホールに備えて気持ちをリセットすることが大事だと学んだ」という。

 2人とも過去のことではなく、この先何をすべきかについて話している点が頼もしい。そういうマインドセットは必要不可欠だと、ツアープロやコーチは断言する。トップレベルを目指す選手は、現状に満足することが許されないからだ。

 

「うちの子は才能があるから指導してほしい,と頼みにくる親が後を絶ちません」モリカワの長年のコーチであり、スポーツ心理学の博士号を持つリック・セシングハウスは言う。「私は才能豊かなジュニアゴルファーを大勢見てきましたが、それは全体のごく一部にすぎないと実感しています」

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Hyoung Chang/MediaNews Group/The Denver Post via Getty Images

スコッティ・シェフラーは物心がついたときからプロゴルファーになりたいと思っていた。テキサス州ダラスのロイヤルオークスカントリークラブがホームコースだった彼は、ツアープロ向けの手入れが行き届いた練習エリアに憧れ、テキサスの蒸し暑い夏も短パンではなく長いトラウザーで通した。

 

 「当時はみんなに笑われたけど、僕はそれを貫いた」わずか42日間でツアー3勝を果たし、世界ランキング1位に躍り出たシェフラーは、「プロは長いトラウザーを常に履いていたから、僕もそれに倣っただけ」と話す

 

しかし、偉大な選手というのはバランスよく目の前のことに集中しつつ、先の目標もしっかり見据えられる。直観に反しているかもしれないが、目標を達成することだけに気を取られすぎてはいけないのだ。

 「世界ナンバーワンになれるとは思っていなかったから、不思議な気分だよ」とシェフラー。「その気持ちがなかったわけではないけど、そこに到達するまでは大して意識しなかった。上達したい一心で頑張ってきた」

 

上達するための課題が絶えず変化する点がゴルフの難しさであり、魅力でもある。6歳のときはボールを芯でとらえて高く上げることが目標かもしれないが、10歳になったらドローを打つこと、13歳になったらウェッジでバックスピンをかけることが目標になり得る。そうやって課題は変わり続けるのだ。

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NIU Athletics

大学ゴルフの名門、オクラホマ州立大学出身のビクター・ホブランドは、大学2年生のときに大きな飛躍を遂げたという。

母国ノルウェーでジュニア時代に輝かしい実績をあげた彼は、すでに完成したスキルを身につけていたと思うかもしれない。しかし、彼は当時、芝から3番ウッドで打つ球の弾道が低すぎることに悩んでいた。

並の選手だったら妥協していたかもしれないが、ホブランドは学校が冬休みに入ってからフロリダ州のコーチを訪ね、ひと月を費やして3番ウッドでより弾道の高い、正確なショットを打つ練習に取り組んだ。

 

「パー5で他の選手が芝からハイドローを打って2オンする様子を見ていて、かなりフラストレーションがたまった」とホブランドは明かす。「だから、ひと月近くかけて徹底的にスイングを見直したんだ。おかげで新学期に入ってから3番ウッドの弾道も高くなり、きちんとドローが打てるようになった。あのときは本当に嬉しかった」

 

モリカワのコーチであるセシングハウスは、ゴルファーが抱く飽くなき向上心のことを「マスタリーマインドセット」と呼んでいる。つまり,外的報酬よりも、上達したいという内発的なモチベーションを重視する考え方のことだ。

優れたカレッジゴルファーだったホブランドが冬休みを費やして3番ウッドのショット改善に取り組んだことや、タイガー・ウッズがマスターズで12打差をつけて圧勝した後、スイングの改造に乗り出したことも、マスタリーマインドセットの一例といえる。

 

「マスタリーマインドセットとは、何事にも初心者のつもりで臨む心構えのこと」とセシングハウスは説明する。「初心者のような気持ちで新しいことを受け入れ、適切な質問をすることが上達につながるわけです」

 

南カリフォルニアで生まれ育ったモリカワは、ジュニア時代から優れたゴルファーだったものの、AJGA (全米ジュニアゴルフ協会) の試合で優勝したことは一度もない。
モリカワがマスタリーマインドセットを持っているとセシングハウスが実感したのは、彼がPGAナショナルで開催されたAJGAの大会で自己ワーストに近い84を叩いた後だ。
セシングハウスは、トーナメントが終わってから選手に上手くいったことや学んだこと、そして今後の課題を報告させることを習慣としていた。

 

「コリンは私が口を開く前にこう言ったんです。『PGAナショナルの強風に手こずったから、アイアンショットの弾道をコントロールできるようになりたい』ってね」セシングハウスは振り返る。

「ジュニアゴルファーやカレッジゴルファーの75%近くは、上手くプレイできないと強風のせいにしたりするのに、コリンは一度も言い訳をしませんでした」

 

ゴルファーとして成功する要因は様々だが、物事が思い通りに進まなかったときのリアクションは重要な判断材料になり得る。

今季PGAツアーに昇格し、マスターズ初参戦を決めたばかりのキャメロン・ヤングも、そのことを認めている。

ヤングによれば、才能あるジュニアゴルファーには共通のパターンが存在し、最初はみんな自分の実力に自信を持つものの、やがてゴルフの難しさを思い知らされるという。

「だけど、ゴルフの難しさに対処する方法を見つけ出し、さらに上達できれば、本物の強さを手に入れられる」とヤングは言う。

 

ヤングの父デビッドは、ニューヨークの郊外にあるスリーピーホロウカントリークラブのヘッドプロだ。

彼がコンピュータのスクリーンセーバーに使っている画像は、優秀なジュニアゴルファーを待ち受ける落とし穴の存在を思い出させてくれる。モニターに表示されるのは、息子がジュニア時代にパインハーストで開催された全米キッズ世界選手権などの写真で、なかにはリーダーボードが写り込んでいる写真もある。

「当時、モリカワのスコアは大したことなかったんです。そして、ジュニア時代に圧倒的な強さを誇った選手の何人かは表舞台から姿を消してしまいました」とヤング。

「そういう少年たちはゴルフを楽しんでいなかったので、見ていて気の毒でした。親も子もゴルフにすべてを捧げて、まるで仕事のようでしたね。しかも、彼らは失敗に対処できるほどの年齢に達していなかったんです」

 

ヤングが最後に指摘しているポイントはとても重要だ。

ゴルフを習得するのはきわめて難しく、若い選手は意欲を失いかねないため、現状に満足してはいけないのと同様に、完璧を求めてはいけないことも肝に銘じるべきだろう。

ジュニアゴルファーがトラックマンに依存しすぎる現状を多くのコーチが警戒するのも、同じ理由による。

コントロールされた練習環境に身を置き、計測器が示すヘッド軌道やボールスピードの数値に気を取られすぎると、ラウンド中に求められる問題解決能力が養われない。

ボクシングのマイク・タイソンは、ゴルフに言及していたわけではないものの、「いったんパンチを見舞われると、物事は作戦どおりに進まなくなる」と、そのことを一番的確に表現している。

キャメロン・ヤングが指摘したとおり、才能あるジュニアゴルファーは早くから自信を持つものの、本当の成長が見込めるのは逆境を乗り越えたときだ。モリカワが小さい頃からセシングハウスの指導の下、傾斜しているライやアゲインストなど一筋縄ではいかないものの、挑戦のしがいがあるショットを練習してきたのも、それが理由に他ならない。

 

「ある意味、失敗を経験させることが目的ともいえます」とセシングハウスは言う。「初心に立ち返り、想像力を働かせることが上達につながりますからね」

逆説的に聞こえるかもしれないが、ゴルフをきわめるのは不可能だと認識することが、マスタリーマインドセットを獲得する秘訣であり、いかに世界ランキングで上位につけようと、そこは変わらない。

 

先日、ジャスティン・トーマスは練習場に向かう途中で、勢いの良かったジュニア時代の自分を振り返った。彼は8歳のときに、自分よりも年上で大柄な選手がいたトーナメントに出場し、プレイオフで敗退したという。「あれが大きな自信につながったね。以前からプロゴルファーになりたかったけど、あの経験を境に、ますます気持ちが強まったんだ」

つまり、多少の紆余曲折はあったにせよ、トーマスは早くから目標を定めていたわけだ。ここまでの道のりが思っていたよりも困難だと感じたことはあるのだろうか。

「もちろん」とトーマスは笑いながら言う。「今でもそう感じるよ。それがゴルフだからね」

 

(この記事は米ゴルフダイジェストの記事から日本語翻訳編集したものです)